隣町のF中学校剣道部の外部指導を始めたのがちょうど7年前のことである。
週数回の指導ではあるが多くの生徒たちとの思い出は私の財産となっている。
これまで卒業する生徒たちとは特にお別れ会など開くことなく、部活引退の試合がそのままお別れの機会となっていた。
今年も例年通り卒業式が終わり剣道部員も巣立っていったのだが、その彼等が部活に顔を出した。
剣道具を取りに来たのか、後輩の指導にでも来たのかと思っていたのだが、稽古終了して私の元に集まり、
「実は今日は先生に御礼を言いに来ました」と寄せ書きを差し出しながら言うのである。
開いてみると部員17名の御礼の言葉がぎっしりと詰まっている。
「う〜ん、やられた」。このギフトは全く期待していなかった分、受ける喜びも大きい。
高校に入ってから剣道を続けない子もかなりいるが、それはそれでかまわない。好きな道を自分らしく生きていって欲しい。
何かの縁で知り合った私には大事な子供ばかりだ。それぞれ違った人生が待っているだろうが、満足のいく人生を送って欲しい。
桜満開の樹の下を寄せ書き横目に運転しながら、心中でこう祈る今日の私だった。