レコード(LP盤)が密かに復活しているという。
青春時代にLP盤で音楽を聴きまくっていた私には、音質が良く便利なCDをありがたく思う反面、LP盤の持つよさが味わえなくなってしまい何か物足りない感じや寂しさを感じていた。
LP盤の持つ魅力とは何であろうか?
まずジャケットの大きさ。確かに収納するにはかさばる。でもあの抱きかかえられるほどの大きさがいい。いい写真や絵がジャケットになっているときはちょっとした美術品に変わる。あの大きさゆえ、新たに購入して持ち運ぶときがまたうれしい。
ジャケットから大事に取り出す瞬間もいい。そしてターンテーブルに乗せカートリッジを盤に置く瞬間が至極の瞬間!。
家でこの雰囲気を味わって聴きたいときはLP、そしてそれ以外や車や外で聴くときはデジタルと、上手く使い分けて聴くのがベストだろう。
私はLP盤の復活を喜んでいる。
LP盤で思い出すことがある。中学高校と私がよく通った地元の「十字屋」というレコード店のことである。
この店は物腰の実に柔らかい若旦那と優しく品のある彼の母親によって経営されていた。若旦那はジャズ愛好家で小さい店ながら奥に充実したジャズコーナーを設け、当時ジャズに心酔していた私にはたまらなかった。おまけによく視聴させてくれたので買ってから失敗した経験がまずなかった。そして当時こづかいの殆どがレコードに化けていったのだった。
今やこの「十字屋」もなくなってしまった。時代の流れで仕方ないこととはいえ、寂しい限りだ。あのいい味を出していた優しい若旦那はどうしているだろうか?